コミック天使学

――中山星香先生と七大天使の交流――

　

　

　

目次

第一部　準備

１．はじめに

２．本論文のねらい

３．参考

４．方法

５．参考

　

第二部　分析

１．基本情報

２．運命を司る三大天使

３．ホロスコープ

４．七大パート

５．大運表

６．大運表の解読その１．大まかな傾向を三区分で見る

７．大運表の解読その２．七年ごとの詳細

　

　

　

　

第一部　準備

　

　

１．はじめに

ここでは、大運表をもとに、女流漫画家・中山星香先生と七大天使の交流がいつどのようなかたちで行われたのか、それが先生の創作活動にどういう影響を与えたのかを見ていくことにする。ポイントは以下のとおり。あくまでも、天使学の一環であり、たんなるのぞき趣味ではないので、プライバシーを尊重し、創作活動に関係しないことには言及しない。

　

・アザゼル　――大長編誕生の秘密

・ジブリールとダルダーイルの二重の働きかけ　――

・シェムナーイル　――哲学の深まり

・アズラーイル　――豊かな自然、ファンタジーの源泉

・イスラーフィール　――女流漫画家中山星香の誕生

　

・漫画家にならなかったとしたら、どういう仕事についていたか？

・恋愛エネルギーの行方

・今後の期待

　

　

２．本論文のねらい

　七大天使の働きかけを具体的に知ること。中山先生の作品を楽しむための視点を豊かにすること。

　

　

３．方法

天使七星学（ミトラ教の秘教占星術）により分析する。ここでは、天使七星学を知らない読者にも分かるように、手法上のこまかい話は省略する。手法・詳細な手順について知りたい方は、下記ＨＰを参照していただきたい。

　

・ＨＰ《天使七星学．七大天使と七つの星についての学問》

・ＨＰ《天使七星学．星座の基礎理論とアラビック・サンチャート》

　

　

４．参考

大和宝巻

・ＨＰ《孔雀時代の新宝巻》　大和宝巻のリスト

・ＨＰ《大和宝巻．その社会的・神学的な位置付け》　大和宝巻の位置付けです

　

コミック天使学

・ＨＰ《天使学７．山中星香先生の作品をテキストとしてミトラ神学を学ぶ：光と闇と創始の光》

　

公式サイト

・ＨＰ《中山星香公式ＨＰ》

　

　

　

第二部　分析

　

　

１．基本情報

・生年月日　1954年3月6日　　

・誕生時間　17時0分

・誕生曜日　土曜日

・日の出時間＝6時28分(JST)

・日の入り時間＝18時3分(JST)

　

　

２．運命を司る三大天使

�@本命天使　財運の天使シェムナーイル･･･太陽黄径から計算。

�A守護天使　神の盾ヌラーイル(ミカエル)･･･生まれ曜日だけから計算。

　　　　　　孔雀王アザゼル･･･生まれ時間と曜日から計算。

�B堕天使　　神の盾ヌラーイル（ミカエル）･･･月宿から計算。

　

表　七大天使に関する基本情報（参考）

天使名	称号	高揚星	幸運日	中山先生の作品 登場人物
アザゼル	孔雀王	太陽	日曜日	闇の神王、オディアル皇子
ジブリール	友愛の天使	金星	金曜日	緑の妖精王
シェムナーイル	財運の天使	水星	水曜日	闇の末皇子、闇の歌長
ダルダーイル（ラファエル）	学芸の天使	月	月曜日	エイリアン、ファラント
ミカエル	倫理の盾	土星	土曜日	アーサー王子
アズラーイル	壮健麗美の天使	木星	木曜日	闇の第三皇子、銀鱗の神皇女
イスラーフィール	神火と神剣の天使	火星	火曜日	ローゼリィ姫（光の乙女）

　

表　七大天使に関する基本情報

天使名	高揚星	性格	中山先生の作品 登場人物
アザゼル	太陽	・必勝の信念で行動し、やるかやられるか、するかしないかをはっきりさせる。優柔不断・中途半端は大嫌い。 ・小細工は大嫌い。つねに正面突破。小者・小心者をあざ笑う。 ・たいへんな自信家。自分に対し絶対的な自信がある。座右の言葉は「なせばなる。鳴かぬなら鳴かせてみせよう、ホトトギス」。	闇の神王、オディアル皇子
ジブリール	金星	・繊細で優しい。慰め上手で、めんどうみがよい。 ・「和」を重んじ、誰にでも優しくする。やや八方美人。主義主張より、和が大切。 ・共感力抜群。感情移入は得意。ぼーっとしているのも得意。 ・いっしょにいると、なんとなくほっとする。 ・すぐあやまる。 ・座右の言葉は「鳴かぬなら鳴くまで待とう、ホトトギス」。	緑の妖精王
シェムナーイル	水星	・哲学大好き。自分なりに理屈をつくり、それがうまくいくと納得する。 ・ものごとを深く掘り下げることが得意。調査・研究大好き。 ・責任感が強く、忍耐力抜群。秘密使命、秘密作戦、隠密行動、裏方が得意。 ・ときどき、損な役回りを引き受ける。 ・孤独に強い。実利、実務、実質優先。	闇の末皇子、闇の歌長
ダルダーイル	月	・人の心理・内面にかかわる繊細なことが大好き。 ・芸術、創作、推理小説、探検が大好き。 ・直感のおもむくままに行動するため、第三者の目には、きまぐれに見える。 ・面倒くさくなると、さっと逃げてしまう。 ・両性具有的で、変装が大好き。 ・規則正しい生活は苦手。 ・繊細なので、すぐ傷つく。	エイリアン、ファラント
ミカエル	土星	・野球にたとえるなら直球しか投げないタイプ。カーブやスライダーなど曲がった球は大嫌い。 ・ルール厳守で、まったく融通が利かない。とにかく曲げることは、いっさいだめ。 ・礼節を重んじ、作法・手順にうるさい。 ・とにかく信頼できる。裏切りという言葉は、ミカエルの辞書にはない。 ・いじめ、差別、不平等、不公平は、ぜったいに許さない。 ・「だめ」「よせ」「いかん」が口癖。	アーサー王子
アズラーイル	木星	・お酒、デカダン、耽美、パンク、ロックが大好き。 ・お調子者で、すぐ図に乗る。 ・惚れると入れ込んでとことん尽くすタイプ。 ・武芸百般に通じる。オールマイティーでバランスがよい。 ・任侠、義理人情が大好き。 ・ダイエットとシェイプアップ（肉体を磨くこと）が大好き。 ・お目こぼしは得意。	闇の第三皇子、銀鱗の神皇女
イスラーフィール	火星	・内面にかかわることは大嫌い。ぐずぐず、うじうじ、ぐちゃぐちゃしたものは、大嫌い。 ・からっと一刀両断、ばきっといくことが大好き。 ・がんがんがん、かっかっかとやるのが大好き。 ・稲妻、突破、革命、革新、急進、刷新、蜂起が大好き。 ・かけひきは大嫌い。 ・好きな擬音は、「びしっ」「ばきっ」「がつっ」。	ローゼリィ姫（光の乙女）

　

　

３．ホロスコープ

　今回の分析では、下記二つのホロスコープを使う。

　

　

　

　

４．七大パート

　中山先生のアラビックパーツを以下に示す。

　

　

　

５．大運表

上記二つのホロスコープ（図ＮＳ１と図ＮＳ２）をもとにつくった大運表（下表）を下記に示す。中山先生の場合は、作品の発表時期が重要な要素なので、詳しく書き込んである。

　

表　中山星香先生の大運表（七大天使との交流の軌跡）

ハウス	星座	七大パート＆七惑星	作品	年齢	三天使
１	乙女座	真珠⇒アザゼル 聖杯⇒ジブリール		０〜７	堕天使 シェムナーイル
２	天秤座	海王星⇒アズラーイル‡		８〜１４
３	蠍座	土星⇒ミカエル		１５〜２１
４	射手座	柘榴⇒アズラーイル 火星（障害）⇒イスラーフィール	デビュー作『ヤーケウッソ物語』1977 『花冠の竜の国』1980年〜 『アンリ・ランディの銀の鳥』1981 『空の迷宮』1981〜91 『はるかなる光の国へ』1982	２２〜２８
５	山羊座	稲妻⇒イスラーフィール†	『銀青色の伝説』1982〜84 『妖精国の騎士』1986〜	２９〜３５	守護天使 ミカエル と アザゼル
６	水瓶座	鉄槌⇒アザゼル†	『エイリエルとエアリアンの詩』1992 『化身の都』1994-95 『招魔の旋律』1996	３６〜４２
７	魚座	水星（転落）⇒シェムナーイル 太陽⇒アザゼル 金星（高揚）⇒ジブリール	『七番目の少年』1997	４３〜４９
８	牡羊座	砂時計⇒ミカエル 三叉鉾⇒アズラーイル† 月（障害）⇒ダルダーイル		５０〜５６
９	牡牛座			５７〜６３	本命天使 ミカエル
１０	双子座	聖剣⇒イスラーフィール 木星（障害）⇒アズラーイル	未来の大作？	６４〜７０
１１	蟹座	天王星（高揚）⇒イスラーフィール‡		７１〜７７
１２	獅子座	賢者の杖⇒シェムナーイル 手紙⇒ダルダーイル＊ 冥王星⇒アザゼル‡		７８〜８４

＊手紙⇒ダルダーイル　手紙は、アラビック・サンチャート方式の図では、太陽で表示されているが、別法では七大パート（ロット）の表に示されている位置に来る（表では指導霊になっている）。大運表では、両方を使う。

†　天王星、海王星、冥王星の発見にともなって新たに追加されたパート。七大パートではないが、参考にする。

‡ 天王星、海王星、冥王星は、七惑星ではないが、参考にする。

　

　

６．大運表の解読その１．大まかな傾向を三区分で見る

　「表　三区分の意味のまとめ」を使って、大雑把な傾向を読み取る。以下にその結果を記す。

　

成長期（０〜２８歳）

・中山先生の場合、成長期は、乙女座からはじまり、水の旅日記において壮年期（川の中流）に相当する星座が続く。それゆえ、２１歳までは、人が多く活気あふれるにぎやかな生活をする⇒実家は中山青果。

・中山先生の場合、成長期は、堕天使シェムナーイル（財運の天使）の保護を受ける。それゆえ、まじめで堅実、目立たず、控えめである。８から４歳は、アズラーイルの保護下でのびのびと楽しく過ごすが、１５〜２１歳は、ミカエルの保護下に入って、規則に縛られ不自由な生活をする。

・天使七星学の原則どおり、最初は堕天使シェムナーイルが用意した楽な道、つまり堅実な就職をするか、下積みを経験するかを迫られる。先生の場合は、下積みを選ぶ。

・先生は、２２歳で漫画家生活に入っている。これは、イスラーフィールの後押しによる。イスラーフィールは、先生のなかで、ローゼリィ姫（光の乙女）になった。主要な作品は、すべてイスラーフィールの後押しで生まれている。

　

壮年期（２９〜５６歳）

・中山先生の場合、壮年期は、山羊座からはじまり、水の旅日記において老年期（川の下流）に相当する星座が続く。それゆえ、苦労もあるが人生に深みをもたらす幅のある生き方をする。

・中山先生の場合、壮年期は、守護天使ミカエル（アザゼル）に支配される。ミカエルは、道徳の盾と呼ばれる天使なので、中山先生は、倫理・道徳面に一本のしっかりとした筋をとおす。作品『妖精国の騎士』においては、ひとつの明確な神学を形成している。アザゼルは、ファンタジーを究めるという強い意志を与えている。

　

老年期（５７〜８４歳）

・中山先生の場合、老年期は、牡牛座からはじまり、水の旅日記において成長期（川の上流）に相当する星座が続く。それゆえ、老年期は、童心に返って楽しい日々を送る。

・中山先生の場合、老年期は、本命天使ミカエルに支配される。それゆえ、高潔（潔癖）になり、俗物を嫌うようになる。

・６４〜７７歳は、イスラーフィールの保護を受けるので、外に出る機会が増える。社会的な影響力も増す。

　

　

７．大運表の解読その２．七年ごとの詳細

�@乙女座（０〜７歳）

　アザゼル（真珠）とジブリール（聖杯）の保護を受ける。この時期にジブリールの保護を受けた人は、かわいがられたはずである。アザゼルの感化もあったので、やんちゃだったが、かわいがられたということであろう。

　

�A天秤座（８〜１４歳）　

壮健麗美の天使アズラーイル（海王星）の保護を受け、自由になる。楽しく、かつ、にぎやかに暮らす。近くには、緑豊かな場所があったはず。恵まれた環境の中で豊かな感受性をはぐくむ。アズラーイルの保護下で多感な時期を過ごしたため、後年の作品は「緑」「自然」にあふれている。この時期は、とても楽しかったに違いない。

　

�B蠍座期（１５〜２１歳）　

　道徳の盾ミカエル（土星）の保護下に入り、今度は一転して規則に縛られた生活をする。自由を失って息が詰まりそうになったはずである。しかし、創作に必要な論理構成力と基礎知識を身に付けるには最適の環境であった。

　

�C射手座期（２２〜２８歳）

　イスラーフィール（火星）とアズラーイル（柘榴）の保護下で、ようやく自由になる。イスラーフィールの後押しで、自分本来の道、すなわち漫画家生活を始める。アズラーイルの保護も受けたため、先生の作品は、自然志向の強いファンタジーになった。

　先生の星の配置は、創作・芸術が天職であることを示しているが、星の配置から見ると、政治活動、団体活動、党派活動、普及啓蒙活動にも向いている(木星と聖剣と天王星)。後年、この方面で力を貸して欲しいという声が強まるであろう⇒�I双子座期。

　

�D山羊座期（２９〜３５歳）

　神火と神剣の天使イスラーフィール（稲妻）の後押しで、大作『妖精国の騎士』に着手する。イスラーフィールは、突破口を開く天使だからである。イスラーフィールの剣の一振りで、突破口がひらけ、『妖精国の騎士』が生まれた。

〔一般事項〕　おりしも、この時期は、人間が個霊意識に目覚め、自己主張・自己表現をする時期である。さすがに、霊感の鋭い中山先生である。しかるべき時期に、しかるべく作品を描いておられる。

　

�E水瓶座期（３６〜４２歳）

　アザゼル（鉄槌）の保護を受ける。中山先生の場合は、この水瓶座期、次の魚座期を連続してアザゼルの保護下で過ごす。アザゼルは、本筋・本質・本命に集中させるので、先生の創作活動は、『花冠の竜の国』と『妖精国の騎士』に絞られていく。無数の作品を描くか、一つの超大作を描くか、二つの道を示されたとき、先生はアザゼルに導かれて超大作を描く道を選んだわけである。

　

�F魚座期（４３〜４９歳）

　シェムナーイル（水星転落）、アザゼル（太陽）、ジブリール（金星高揚）の保護を受ける。先生は、『妖精国の騎士』に打ち込む。シェムナーイルが加わるため、主題の哲学的な掘り下げが進む。ジブリールが加わるため、愛の幅が広がる。

　

�G牡羊座期（５０〜５６歳）

ミカエル（砂時計）、アズラーイル（三叉鉾）、ダルダーイル（月障害）の保護を受ける。アズラーイルとダルダーイルの保護を受けて、作品が映像化される。ダルダーイルの影響を受けるので、推理・サスペンスに関心が向く。これまで以上に、いろいろなことに関心が広がり、視野が広がる。ミカエルの導きに従うと、�I双子座期にもうひとつの花が咲く。

　

�H牡牛座期（５７〜６３歳）

　牡羊座期に続いて、ミカエルの保護を受ける。牡羊座期にはじめたことを継承発展させる。

 

�I双子座期（６４〜７０歳）

　アズラーイル（木星障害）とイスラーフィール（聖剣）の保護を受ける。若さと活力がもどってくる。自然志向・自然愛好も強まる。もともと政治活動に向いているだけに、この時期にイスラーフィールの働きかけがあると、組織・団体活動に力が入るであろう。この方向に進むなら、相当高い地位に就くはずである。イスラーフィールは、ローゼリィ姫（光の乙女）であり、先生のとっての神である点を思い出しておこう。

〔一般事項〕　この時期は、個としての自己を完成させる時期である。

　

�J蟹座期（７１〜７７歳）

　双子座期に引き続いて、イスラーフィール（天王星）の保護を受ける。若さと活力を維持し、忙しく飛び回る。若い人、進歩的な人の支持を得て、地位はさらに上がる。

　

�K獅子座期（７８〜８４歳）

　シェムナーイル（賢者の杖）、ダルダーイル（手紙）、アザゼル（冥王星）の保護を受ける。相変わらず忙しい日々が続く。

　

８５歳以上

　再び乙女座期にもどる。まだまだ続くが、ここから先は、お楽しみということにしておく。

　

　

８．天使が作風に与える影響

絵柄

　清楚な絵柄は、二人の守護天使ミカエルとアザゼルの影響である。

 

ストーリー

　剣と魔法というジャンルであるにもかかわらず、いわゆる魔法合戦にならず、剣が主体になっているのは、堕天使ミカエルの影響である。

　明確な論理展開は、本命天使シェムナーイルの影響である。

 

恋愛

　運命を司る天使の中に、ジブリール、ダルダーイル、アズラーイルという情の天使がいないため、恋愛描写は、どうしても淡白になる。

 

 

以　　　上