天使七星学

――星座についての秘教的基礎理論とアラビック・サンチャート――

　

　

　

目次

第一部　秘教的な基礎理論

１．はじめに

２．本論文のねらい

３．参考

４．星座年代記と人類史

５．水の旅日記と年運の見方

６．弥勒教における年運の見方

７．弥勒教と易

８．十二星座天使団と玉座神秘主義

９．近代エソテリシズム

　

第二部　実践指導

１．目的

２．解読の手順

３．総合演習

４．人物研究

　

　

　

第一部　秘教的な基礎理論

　

　

１．はじめに

　天使七星学（ミトラ教の秘教占星術）における三本柱は、次のとおりである。

　

（１）七大天使／七曜神／七光線

〔役割〕　七大天使／七曜神／七光線は、七惑星／七大パート（ダイモーン）を介して、その人の運命を司る。

〔秘教的な教え〕　七芒星と聖七文字のなかに埋め込まれている。

　

（２）十二星座

〔役割〕　十二星座は、性質・可能性・課題・とばり（試練）の貯蔵庫である。七大天使（七曜神）は、七惑星／七大パートを利用して、星座の中からこれらをとりだし、その人の性格や運命を方向付ける。

〔秘教的な教え〕　星座年代記、水の旅日記、玉座神秘主義のなかに埋め込まれている。

　

（３）二十八月宿

〔役割〕　二十八月宿は、相性を司る。相性を司るのは、守護天使と堕天使である。守護天使と堕天使は、それぞれ異なる基準で相性の良否を定めている。

〔秘教的な教え〕　月星座や堕天使に関する哲学と相性判断に使う秘宿のなかに埋め込まれている。

　

　

２．本論文のねらい

　七大天使／七曜神／七光線については、『天使七星学．手引き２．七大天使と七つの星についての学問』およびＨＰ《天使七星学．七大天使と七つの星についての学問》で基本理論を解説したので、ここでは十二星座について解説する。第一部では、最初に星座に関する秘教的な教えの基本である星座年代記、水の旅日記、玉座神秘主義をとりあげて説明する。知識に広がりを持たせるために、弥勒教においてどのように中国化されたかについても説明する。第二部では、ホロスコープ解読への応用方法について具体的に指導する。手法上のポイントは、以下のとおりである。

　

・アラビック・サンチャート

・七大パート（七大ダイモーン）

・人生の三区分

・惑星の品位

・一星座七年法

・弥勒教における別法

・MIIBOAT-Toolの１００％活用術

　

　なお、ここでは、占星術の歴史や十二星座・二十八宿成立の歴史については言及しない。歴史について詳しく知りたい方は、下記を参照していただきたい。

　

・『通信講座III第２講義：天使七星学２哲学基礎』

・『通信講座III特別講義：宿曜術』

・『ミトラ神学研究辞典』の「占星術」「星座」の項

　

　

３．参考

辞書

・東條真人『ミトラ神学研究辞典』ＰＤＦ／ＣＤ版、ミトラ教天使七星教会

　

天使七星学関連の書籍

・東條真人『バビロニア占星学とアラビックパーツ』MIIBOAT Books、1996

・東條真人『詳解ミトラ教の秘教占星学』MIIBOAT Books、1998

　

天使七星学関連の教科書ＰＤＦ

・東條真人『天使七星学．手引き１．概要』ＰＤＦ、ミトラ教天使七星教会（ミトラ会の会員にのみ配布）

・東條真人『天使七星学．七大天使論５．諸宗教における七大天使』ＰＤＦ、ミトラ教天使七星教会

・東條真人『通信講座III第２講義：天使七星学２哲学基礎』ＰＤＦ、ミトラ教天使七星教会

・東條真人『通信講座III第６講義：弥勒教２天使七星学と東洋占術』ＰＤＦ、ミトラ教天使七星教会

・東條真人『通信講座III特別講義：宿曜術』ＰＤＦ、ミトラ教天使七星教会

　

MIIBOAT-Tool

・岡庭加奈『岡庭加奈のパソコンソフト占星学教室』MIIBOAT-Books、1999

　

正典

・『業輪経』ＰＤＦ、ミトラ教天使七星教会　⇒ＨＰ《ゾディアックの書》

・『真二宗経』ＰＤＦ、ミトラ教天使七星教会

・『大力士経』ＰＤＦ、ミトラ教天使七星教会

・『黒の書』ＰＤＦ、ミトラ教天使七星教会

・『天真弥勒大讃願経』ＰＤＦ、ミトラ教天使七星教会

・『薔薇園の秘密』ＰＤＦ、ミトラ教天使七星教会

・『カタリ派祈祷書』ＰＤＦ、ミトラ教天使七星教会

　

ＨＰ

・ＨＰ《ミトラ神学３．東方ミトラ教入門》

・ＨＰ《天使七星学．七大天使と七つの星についての学問》

・ＨＰ《ミトラ教．神話学５．マホメットの夜の旅》

・ＨＰ《最初に読むミトラ神話 》

・ＨＰ《ミトラ神話４．西方ミトラ教のミトラ神話》

　

易

・高田真治＆後藤基巳訳『易経』上下、岩波文庫、1969

　

　

４．星座年代記と人類史

定義

　星座年代記とは、正典『業輪経』（ゾディアックの書）をさす。『業輪経』のほかにも、ミトラ教には多数の宇宙年代記がある（下表参照）。なかでも、『真二宗経』『大力士経』『業輪経』の三部は中核的な教典である。しかし、十二星座に対応して記されているものは、『業輪経』だけである。

　

表　ミトラ教の宇宙年代記

中国語表題	原表題	原語
黒の書	マスハフ・リシュ	クルド語
真二宗経〔しんにしゅうきょう〕	シャープラカーン（シャープール王に捧げる書）	中世ペルシア語
大力士経〔だいりきしぎょう〕	カヴァーン（巨人の書）	パルティア語
業輪経〔ごうりんきょう〕	スファル・マリワシーヤ（ゾディアックの書）	アラビア語
ズルワーン派による創造の書	ズルワーン派による大ブンダヒシュン	中世ペルシア語
聖詩：天地創造の詩＊	聖詩：天地創造の詩	クルド語
西方ミトラ教の神話＊	ミトラ教神統記	ラテン語・ギリシア語
聖詩：綺羅の霊に讃えあれ＊	聖詩：綺羅の霊に讃えあれ	コプト語

＊聖詩：天地創造の詩　⇒ＨＰ《最初に読むミトラ神話》の「�@火の鳥の物語」

＊西方ミトラ教の神話　⇒ＨＰ《ミトラ神話４．西方ミトラ教のミトラ神話》

＊聖詩：綺羅の霊に讃えあれ　正典『真二宗経』に収録。

　

星座年代記のねらい　

　星座年代記は、神話伝承、人類史、人類の意識進化についての哲学的な理解を深めること。

　

内容

『業輪経』は、十二星座に対応させてアダムとイヴ誕生以後の人類史を説明した書物である。アダムとイヴ＊の誕生、カインのアベル殺し、セト＊誕生、ミトラの冥府下り、旱魃と湧水の奇蹟、見張りと呼ばれる天使たちの堕天＊、巨人族の狼藉＊、ノア＊の箱舟と大洪水といったエピソードが織り込まれている。

　

表　ミトラ教の星座年代記

星座紀	エピソード	内容区分	発達のポイント
牡羊座紀	ミトラは、光のかけらを救済するために、生ける火を召喚する。	アダムとイヴの成長の記録	霊的誕生。
牡牛座紀	生ける火が、泥人形（アダムとイヴ）の中に入る。		受肉の苦痛を感じる。はじめて外界を知覚する。見るもの聞くものすべてが新しく新鮮に感じる。
双子座紀	泥人形が成長して、日増しに大きくなる。生ける火は、それに合わせて、身体感覚を発達・させる。		成長に伴い、身体が大きくなっていく。この変化に追従して、自己認識・身体感覚が調整される。
蟹座紀	泥人形が本能を発達させる。アダムとイヴに群集意識が生まれる。月の女神ルナの保護を受ける。		群魂意識が生まれる。
獅子座紀	泥人形が意識を発達させる。アダムとイヴに個霊意識が生まれる。日輪神ソルの保護を受ける。		個霊意識が生まれる。独自の自己主張・自己表現を始める。
乙女座紀	アダムとイヴに知性（反省・分析する能力）が生まれる。ジブリールに会う。		分析的知性が発達する。過去から学び、将来のあり方をイメージする。
天秤座紀	アダムとイヴは交わって子をもうける。	アダムとイヴの子孫、すなわち人類の歴史	生殖行為が始まる。同時に、社会性が目覚める。自分と相手という二者の関係を知る。
蠍座紀	生殖により、人間の数が増え始める。ミトラは、冥府に降りていき、アーリマンとアズを大天使に復帰させる。		性本能・性欲が意識を支配する。子孫をもうけることだけに意識が集中する。
射手座紀	大干ばつが起こる。ミトラが冥府からもどってきて、湧水の奇蹟を起こす。日輪神ソルが迎えに来たので、ミトラは聖餐式を行った後、天界に帰還する。		人生における霊的目標を自覚する（性欲を超える精神的な生きがいがあることを悟る）。
山羊座紀	見張りと呼ばれる天使たちが人類のもとにやって来る。彼らの指導により、人類は３６の壮麗な都市を築き、天使たちとともに暮らす。人類は繁栄を極める。		個としての自己を完成させる。長老的立場に立つ。
水瓶座紀	見張りと娘が恋に落ち、巨人族を生む。巨人族が人間を食べ始めたので、イスラーフィールが討ち滅ぼす。壮麗な都市は、崩壊する。アノシュは生き残った者を集めて、人類の社会を再建する。		集団意識（共同体意識）が芽生える。自分中心ではなく、社会中心に考え、行動するようになる。
魚座紀	巨人族の末裔がふたたび増え、大地に不法がはびこる。神は、ノアに箱舟を作るように命じる。神は大洪水を起こし、地上のすべてを洗い流す。ノアたちは、新しい大地に降りる。ミトラの保護のもとで、新しい王国を築く。		聖者意識（世代意識）が芽生える。今現在だけでなく、次世代のことを考えて、行動するようになる。

　

＊アダムとイヴ　Adam and Eve。クルド・ペルシアの伝承では、マシュヤーMašyâとマシュヤーナグMašyânag、あるいはマトローMatrôとマトローヤオMatrôyaoと呼ばれている⇒正典『真二宗経』『ズルワーン派による大ブンダヒシュン』。ここでは、アダムとイヴに統一した。

＊セト　Seth。〔ア〕シーフSîf。トト、ヘルメスと同一視されている。

＊見張りと呼ばれる天使たちの堕天　いわゆる「見張り伝承」のこと。見張り伝承は、ユダヤ・キリスト教起源の伝承ではない。東方ミトラ教の伝承としてあまりにも有名だったため、聖書からは、むしろ削られたという経緯がある。

＊巨人族の狼藉　見張り伝承の後半に起きる事件のこと。水瓶座紀に記されている。

＊ノア　Noah。聖書のノアとその洪水伝説は、より古いシュメールのジウスドラ＊＊とその洪水伝説を原型としている。ここでは、ノアで統一したが、ミトラ神話のノアは、かなりジウスドラ的である⇒ヒルミ『クルドの口伝教典』。

＊＊ジウスドラ　〔シュメール語〕Ziusudra。またはジウスラZiusura。〔アッカド語〕ウトナピシュティUt-napišti。

　

応用

　天使七星学では、つぎに説明する水の旅日記と併せて年運判断に応用する。くわしくは、５．水の旅日記で説明する。

　

　

５．水の旅日記と年運の見方

定義

『水の旅日記』は、自然界における水の循環を十二星座に対応させて、神智学的な生命観・人生観を説いた注釈書（タフシール）である。ミトラ教に伝わる『水の旅日記』は、シャビスタリーが記した正典『薔薇園の秘密』の「７．神との神秘的合一を達成することの意味」をもとにしている。

　

名前と生年

　マフムード・シャビスタリーShaykh Sa'd-ud-Dîn Mahmûd Shabistarî, 1287-1320/21。

　

評伝

　シャビスタリーは、クルディスタン西部の町タブリーズTabrîzの近郊にあるシャビスタル村Shabistarに生まれた。アゼルバイジャンの神秘詩人として知られる。1317年、三〇歳のときに、ヘラートに住むスーフィーの長老フサイニー・サーダート・アミールHusaynî Sâdât Amîr, ?-after 1328の質問に答えるかたちで、『薔薇園の秘密』を書き記し、三十三歳の若さで死んだ。これ以外のことは、不明である。

　

書誌

　『薔薇園の秘密』（グルシャネ・ラーズGulshan-e Râz）は、精神修養マスナウィーmathnawîのための神秘詩集である。もっとも優れた注釈書は、ヌールバクシー教団の長老シャムス・ッディーン・ブン・ヤフヤー・ラーヒージーShams al-Dîn b. Yahyâ Lâhîjî, ?-1506/7が記した注釈書である。ミトラ教諸派（孔雀派・天真派・神火派・弥勒教）だけでなく、イスマーイール派、陶酔型スーフィズム、ヌールバクシー教団（イラン）、ニーマトッラー教団（イラン）、メフレウィー教団（トルコ）などの重要な教典となっている。⇒イスマーイール派、陶酔型スーフィズム、ヌールバクシー教団、ニーマトッラー教団、メフレウィー教団

　

備考

　星座年代記と水の旅日記を生み出したのは、クルドの地の伝統文化、すなわちミトラ教である。両者とも、ミトラ教の生命観・人生観の占星術的な表れである。

　

水の旅日記のねらい

　ホロスコープ解読を通じて秘教的な生命観・人生観を養うこと、哲学的な理解を深めること。

　

特徴

（１）水の旅日記の底本となっている正典『薔薇園の秘密』の「７．神との神秘的合一を達成することの意味」は、�@古代のミトラ単一神教時代にまでさかのぼる伝承、�A東方ミトラ教の正典『ケファライア』に記されている秘教占星術の基本的な考え方、�Bシーア派的な考え方の三つを完全に融合させている。

（２）神話伝承に関する知識がない初心者にも理解しやすい。先の星座年代記とは異なり、聖書・エノク書・コーラン・クルド聖詩にまたがる神話伝承は登場しない。

　

水の旅

（１）水の旅は、牡羊座からはじまり、魚座で終わる。魚座からふたたび牡羊座に戻って、次の旅が始まる（下図参照）。

（２）水の旅は、水象星座（蟹座、蠍座、魚座）を区切りとして、大きく三つに区分されている。

（３）三つの区分は、下記のような照応関係を持っている。

�@イラクの地理（北部クルド人支配地域、中部スンニー派支配地域、南部シーア派支配地域）

�A存在界の三つの階層（地＝動植物界、人＝人間界、天＝神聖界）

�B人生の三つの時期（成長期、壮年期、老年期）

　

　

表　十二星座をめぐる水の旅

星座期	ハウス	水の旅	川＊	地理	天人地	人生	年齢域＊
牡羊座	１	至高なる神ミトラの意志により、逆巻く波から霧がたちのぼり、雲となって陸地に向かう。 〔象意〕　意識は、霧がかかったようにぼんやりとしている。まだ母体の強い影響下にいる。	上流域	山林 原野 イラク北部 （クルド） ニネヴェ モスル	地 （動植物界）	成長期	０〜７歳
牡牛座	２	雲は、山脈にぶつかって雨となって大地に降り注ぐ。 〔象意〕　母体を離れ、外界を知覚する。意識にかかっていた霧が晴れる。見るもの聞くものがみな珍しい。					８〜１４歳
双子座	３	雨水は、集まって、やがて小川となって大地を流れる（カナートを流れる）。神ミトラは、七光線を降り注ぎ、大地をよみがえらせる。 〔象意〕　身体感覚が成熟する。身体が大きくなる。これに追従して、自己意識と身体感覚を調整する。身体が真の意味で自分のものになる。					１５〜２１歳
蟹座	４	水は、池、湖、泉をつくり、さまざまな動植物を育む。七光線の作用により、動植物はさまざまな種類に分かれて育つ。 〔象意〕　群魂意識が発達する。気の合う者同士が群れて行動する。					２２〜２８歳
獅子座	５	水は、人間の住居、すなわち王都に至る。神ミトラの光（七光線）と水が協力して、人間を生み出す。人間は、川岸に壮麗な都市をつくり、そこに住む。 〔象意〕　個我が目覚める。精神的に自立する。自己主張を始める。いわゆる大人になる。	中流域	町 イラク中部 バビロン バグダッド	人 （人間界）	壮年期	２９〜３５歳
乙女座	６	水は、大小さまざまな水路（上水道）をとおって、人々のもとに穀物・果物・肉魚を運ぶ。 〔象意〕　分別が発達する。社会の決まり・歴史・伝統からいろいろ学んで吸収する。自分の類型パターンを知る。					３６〜４２歳
天秤座	７	水は、穀物・果物・肉魚の調理に使われ、人間の中に入る。このとき、人間の内に光が運び込まれる。 〔象意〕　社会通念に個人的価値観を接合する。自分を社会に適合させ、社会的な居場所（立場・役割）を定める。					４３〜４９歳
蠍座	８	水は、闇（老廃物・毒素）を体外に運び出す。水は、下水道や排水溝をとおって、地下にもぐり、大地のものを大地に帰す。 〔象意〕　本質を残し、非本質的なことを捨てる。人生の整理をし、幹と枝葉をはっきり区別する。					５０〜５６歳
射手座	９	水は、再び地表に現れる。そして、郊外に流れて行き、家畜の飲み水となる。 〔象意〕　枝葉を捨て、本質的なことだけにまとをしぼる。社会的な枠組みの中で人生の本筋を充実させる。	下流域	平地 沃土 河口デルタ イラク南部 ウル ウルク バスラ	天 （神聖界）	老年期	５７〜６３歳
山羊座	１０	水は、郊外に広がる耕地をうるおしながら、町から離れて行く。 〔象意〕　個霊意識の完成。社会の中の個として、自己を確立する。社会的な地位・評価が定まる。					６４〜７０歳
水瓶座	１１	広大なデルタ地帯で無数の川が次々と合流し、大河を形成する。 〔象意〕　社会意識（共同体意識）の完成。個人的な利害・得失を離れて、社会全体のことを考えて行動するようになる。					７１〜７７歳
魚座	１２	大河は、海に注ぐ。水は再び、母なる海にもどる。 〔象意〕　聖者意識（世代意識）の完成。次世代のことを考えて行動するようになる。					７８〜８４歳

＊川　チグリス・ユーフラテス川のこと。この二つの川は、下流で合流してシャトルアラブ川になる。

＊年齢域　各年齢域の幅については、この他にもいくつかの説がある。ここに示したものをひとつの目安と考え、自分なりに調整して使うことが好ましい。

　

実占上の応用

　次のような手順でアラビック・サンチャートを使った大運判断に応用する。

　

（１）まず、人生を成長期、壮年期、壮年期の三つに分けて大まかな傾向を読み取る。その際には、下記の表「三区分の意味のまとめ」を使う。具体的な使い方については、第二部の総合演習を参照のこと。

（２）つぎに、七年期ごとの運勢を読み取る。その際には、第一ハウスが０〜７歳の運勢、第二ハウスが８〜１４歳の運勢、第三ハウスが１５〜２１歳・・・第十一ハウスが７１〜７７歳、第十二ハウスが７８歳以上の運勢を表していると考える。水の旅日記は、８４歳で終わりだが、実占では、次の七年期（８５〜９１歳）は、第一ハウスにもどる。

 

表　三区分の意味のまとめ

人生	特徴	運命を司る 三天使	川	イラクの地理	天人地	ミトラ教の 発展段階
成長期	のびのび 自由気まま 奔放 童心	堕天使	上流域	イラク北部（クルド） 山林・原野 中心都市 古代：ニネヴェ 現在：モスル	地 （動植物界）	・ミトラ単一神教 ・西方ミトラ教
壮年期	活発 行動的 気力充実	守護天使	中流域	イラク中部 町 中心都市 古代：バビロン 現在：バグダッド	人 （人間界）	・東方ミトラ教
老年期	賢明・思慮深い 幅広く考え、現実的に行動する 達観	本命天使	下流域	イラク南部 河口流域 中心都市 古代：ウル、ウルク 現在：バスラ	天 （神聖界）	・ミール派イスラーム ・弥勒教 ・陶酔型スーフィズム

　

　

６．弥勒教における年運の見方

　ミトラ教の秘教占星術（天使七星学）は、中国にも伝えられた。ミトラ教が中国化して弥勒教になったように、天使七星学も中国化された＊。年運は、十二運星＊を使って判断するようにアレンジされた。『鄭氏星案』〔ていしせいあん〕にもとづいて、以下にその方法を記す。

　

（１）アセンダントを含む星座、つまり第一ハウスに十二運星のひとつ受気〔じゅき〕を割り当てる。

（２）以下、第二ハウス、第三ハウス・・・第十二ハウスと、下表のような順序で十二運星を割り当てていく。

（３）年運は、一ハウス一年法（一星座一年法）で見る。生まれた年は、第一ハウスなので受気胎〔じゅき〕になる。２年目は、第十二ハウスで胎〔たい〕になる。３年目は第十一ハウスでよう養〔よう〕になる。以下、同じように時計回りで見ていく。年運のめぐり方が通常（反時計回り）とは逆で、時計回りになるので注意が必要である。

（４）アラビックパーツの代わりに、貴人星、北斗・中天・南斗星などを使う。

　

表　ハウスへの十二運星の割付方法

ハウス	十二運星 （弥勒教）	十二運星 （四柱推命）	運勢の強さ
１	受気　じゅき	絶　ぜつ	弱
１２	胎　たい	胎　たい	弱
１１	養　よう	養　よう	中
１０	生長　せいちょう	長生　ちょうせい	中
９	沐浴　もくよく	沐浴　もくよく	中
８	冠帯　かんたい	冠帯　かんたい	強
７	臨官　りんかん	建禄　けんろく	強
６	旺　おう	帝旺　ていおう	強
５	衰　すい	衰　すい	中
４	病　びょう	病　びょう	中
３	死　し	死　し	弱
２	葬　そう	墓　ぼ	弱

　

＊天使七星学も中国化された　天使七星学の手法は、紫微斗数〔しびとすう〕のなかに残っている。紫微斗数を研究して資料の欠落部分を補完すると、中世ミトラ教の天使七星学の技法のほぼすべてを完全に復元することができる。最近は、日本語でもすぐれた手法解説書が多数刊行されているので、いろいろと研究してみていただきたい。

＊十二運星　じゅうにうんせい。十二運星は、運勢の栄枯盛衰を植物の成長にたとえたものであり、四柱推命などの中国占術で使われている。

　

　

７．弥勒教と易

易の役割

　弥勒教は、易の象徴をうまく活用し、星座年代記や水の旅日記のかわりに、六十四卦の配列、消長卦、後天上位盤の三つを使う。この三つは、ホロスコープ解読とは結びついていないが、ミトラ教のなかに受容され、重要な哲学的道具立てになった。それだけに、また特別な意味合いと重要性を持っている。

　

六十四卦の配列

　六十四卦の配列にどういう意味があるかについては、『周易序卦伝』〔しゅうえきじょかでん〕に記されている。『周易序卦伝』は、孔子が書いたとされる十翼〔じゅうよく〕と呼ばれる易の注釈書の一つである。これには、つぎのように記してある。

　

　天地すなわち乾坤〔けんこん〕があって、始めて万物は生れる。万物は、天地の間に満ちるので、乾坤の次に屯〔ちゅん〕が置かれている。「屯」は満ちるという意味だからである。天地の間に万物が生れるにあたり、最初は霧が発生する。それゆえ、屯〔ちゅん〕の次には、蒙〔もう〕が置かれている。「蒙」はおぼろで幼いという意味だからである。幼いものは、これを養い育てなければならない。そこで、蒙の次には需〔じゅ〕が置かれている。需は、養い育てることを意味しているからである。多くのものを養い育てると、必ず争いが起きる。そこで、需の次には訟〔しょう〕が置かれている。「訟」は争うことを意味しているからである。多くの人々（衆）が争うと、それを鎮めるための旗指物が必要になる。そこで、訟の次には師〔し〕が置かれている。「師」は衆を意味するからである。方向が定まれば、人々は互いに親しみ合う。そこで、師の次には比〔ひ〕が置かれている。「比」は親しむことを意味するからである。・・・

　

ミトラ神話に対応付けるなら、乾、坤、屯、蒙、需までが天地創造、訟はアーリマンと原人オフルミズドの戦い、師はミトラの救済活動の始まり、比は和解、小畜、履、泰は復興とみなすことができる。

　

消長卦　しょうちょうか

　消長卦は、下から上に向かって陽爻が成長していく様子を示した図式である（下図参照）。図では、向かって左から右に向かって、２坤為地〔こんいち〕→２４地雷復〔ちらいふく〕→１９地沢臨〔ちたくりん〕→１１地天泰〔ちてんたい〕→３４雷天大壮〔らいてんたいそう〕→４３澤天夬〔たくてんかい〕→１乾為天〔けんいてん〕という順序並んでおり、陽気が昇り、陰気を消し去って行き、陽気が満ちると、今度は下から順に陰気が昇ってくるという陰陽の消長を表している。

　この消長卦の図をそのまま占いに使うことはないが、ものごとの進展状況や内面的な成長・充実の度合いを判断する目安に使う。易は、天真（天道）と呼ばれるもののはたらきを感覚的にとらえるには、最適の占いであり、爻卦〔こうか〕と消長卦は、その代表的な道具立てある。

　

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・・・・・・

図　消長卦

――消長卦は、消長を無限にくりかえす。――

　

後天上位盤

　易には、先天上位盤と後天上位盤の二種類がある。弥勒教の神話によれば、弥勒が救済活動を始めるに当たって、無極聖母の要請により伏羲〔ふっき〕が授けた天盤である（下図参照）。後天上位盤は、あらゆる占いと瞑想法の基本である。西方の玉座神秘主義の変わりに、弥勒教では後天上位盤を用いた瞑想修行を行う。

　

図　先天上位盤（内輪）と後天上位盤（外輪）

――中国の易曼荼羅――

　

　

８．十二星座天使団と玉座神秘主義

定義

　十二星座を司る天使団のこと。各天使団を率いる大天使は、ミトラ教の正典『ミトラ典礼書』『真二宗経』『ケファライア抄』の中では、十二名の光の乙女と呼ばれている⇒ＨＰ《ミトラ神学３．東方ミトラ教入門》の第四部「十二星座その１．十二美徳」。

　

定義詳細

　⇒『ミトラ神学研究辞典』の「十二星座天使団」および「生命の木」の項を参照のこと。

　

特徴

　基本的な考え方は、『ヘルメス文書』I:24-26; XIII:7, 12にも記されている。

　

応用

　ミトラ教では、いわゆる玉座神秘主義というかたちで利用する。玉座は、王と人民、神と人が接する唯一の場所の象徴である。それゆえ、玉座神秘主義とは、天使たちが十二の位階に分かれて居並ぶ天球層を上っていき、最高天にある光の広間（ヘーハーロートの間)で玉座に座るミトラに出会い、神人合一の境地に入ることを意味している。エノク書の伝統では、これをメタトロン神秘主義＊、あるいはメルカバ神秘主義と呼んでいる。ミトラとの謁見の場面については、正典『大力士経』『カタリ派祈祷書』、ＨＰ《ミトラ教．神話学５．マホメットの夜の旅》を参照していただきたい。

　天使七星学では、冥府下りというかたちで秘儀化し、運命を司る三天使の導きのもとで進める。

　

　

９．近代エソテリシズム　

どのように応用したか

　近代エソテリシズムは、ミトラ教の星座年代記・水の旅日記・十二星座天使団をもとにして、意識進化の過程を説明している。

　

（１）ジョーンズとルディヤは、これを基本的な枠組みとして、サビアン･シンボル３６０個の体系化した。

（２）ブラヴァツキーとアリス･ベイリーは、これを基本的な枠組みとして、意識進化の過程を説明した。その際、十二星座天使団をハイアラーキーと呼び変えた。

（３）シュタイナーは、十二星座天使団を偽ディオニュシウスの『天上位階論』が説く「上中下各三隊からなる全九階級の天使団」という考え方、およびカバラと結び付けて体系化した。

（４）ハインデルは、（２）と（３）を結びつけた。

　

近代エソテリシズムは、ミトラ教の伝統教義の応用であるから、天使七星学を学んで基礎を幅広くしっかりと固める必要がある。いかなる分野においても、基礎にもどることが応用を究める際の王道だからである。

　

七大天使と光線

　七大天使は、ミトラ教・シーア派・スーフィズムの哲学（東方神智学）では、霊光＊、あるいは支配光＊と呼ばれている。これを近代エソテリシズムは、光線rayと訳したわけである。おさらいをかねて、七大天使と七光線の関係を下表にまとめておく。大運判断の際に利用していただきたい。

　

＊霊光　れいこう　〔ア〕アンワール・ムジャッラダanwâr mujarrada。

＊支配光　しはいこう。〔ア〕カワーヒルqawâhir。

　

表　七大天使と七光線

七大天使	七光線	高揚星	秘教支配星
アザゼル	１	太陽	冥王星、高炉星
ジブリール	２	金星	太陽、木星
シェムナーイル	３	水星	地球、土星
ダルダーイル	４	月	月、水星
ヌラーイル	５	土星	金星
アズラーイル	６	木星	火星、海王星
イスラーフィール	７	火星	天王星

　

　

　

第二部　実践指導

　

　

１．目的

（１）アラビック・サンチャートと一星座七年法を組み合わせて使い、大運を解読できるようになること。

（２）新しいMIIBOAT-Toolを１００％活用できるようになること。

　

　

２．解読の手順

　天使七星学では、つぎのような順序でホロスコープ解読を行う。

　

（１）ホロスコープ作成

　星座ハウス一致方式でホロスコープを作成する。この場合、アセンダントを含む星座が第一ハウスになる。

　

（２）性格判断

　惑星ではなく、七つの宝（七大パート）をもとに分析する。これについては、『天使七星学．手引き１．概要』を参照していただきたい。

　

（３）大運（年運）判断

�@『水の旅日記』をもとに一星座七年法で判断する。０〜７歳までの七年間の運勢はアセンダント星座（第一ハウス）、つぎの七年間（８〜１４歳）の運勢は次の星座（第二ハウス）というように見ていく。

�A七大パート、惑星、アセンダント、ＭＣが位置している星座が示す時期には、重要な出来事がある。

➂七大パートのほうが惑星よりも強い力を持っている。それゆえ、一つの星座（ハウス）の中に、パートと惑星が混在している場合には、パートを主（主役）、惑星を従（補佐役）と考えて読解する。

�C七大パートも惑星も居留していないハウス／星座が示す期間の運勢を導くのは、堕天使・守護天使・本命天使である。

�D年運判断では、七大パート(ダイモーン)だけでなく、多数のアラビックパーツも使う⇒『詳解ミトラ教の秘教占星学』p179-184。

　

（４）大運の別法

　ミトラの秘儀における七つの位階を利用した方法もある。これについては、『天使七星学．手引き１．概要』の第二部２．解読の見本を参照していただきたい。

　

大運判断の練習１

　宝剣（火星のパート/ダイモーン）あるいは火星が双子座に位置しているならば、１５〜２１歳のときに火星の強い影響を受ける。このとき、双子座が第四ハウスになっているなら、中学三年くらいから家に居つかなくなり、親の束縛を嫌って家から飛び出すこともあり得る。火星を高揚星とする天使はイスラーフィール、本来星とするのはアズラーイルなので、この時期には、両天使から強い影響を受ける。火星のダイモーンは武勇の女神ミネルヴァ、火星神はバフラームなので、この二神からも強い影響を受ける。

　

大運判断の練習２

　砂時計（土星のパート/ダイモーン）あるいは土星が獅子座に位置しているならば、２９〜３５歳のときに土星の強い影響を受ける。このとき、獅子座が第九ハウスになっているなら、上司・先輩社員との衝突が多くなり、転職をくりかえすこともあり得る。土星を高揚星とする天使はミカエル、本来星とするのはシェムナーイルなので、この時期には、両天使から強い影響を受ける。土星のダイモーンは復讐の女神ネメシス、土星神はクロノス（女神ニュクス）なので、この二神からも強い影響を受ける。

　

　

３．総合演習

（１）基本情報を調べる

　まず、MIIBOAT-Toolを起動し、「開始」→「ネイタルチャート」→「登録予定のデータ」を選択し、生年月日、誕生時間、出生地を入力し、「ＯＫ」ボタンをクリックする。するとホロスコープが表示される。ここでは、以下のように入力する。

　

・生年月日　2004年7月23日

・誕生時間　3時44分

・出生地　　横浜

　

（２）運命を司る三大天使

　基本情報をもとに、運命を司る三大天使を見つける。MIIBOAT-Toolでは、「チャート」→「守護天使と堕天使をみつける（ミトラの七大天使）」を選択する。すると、基本情報とともに運命を司る三大天使が表示される（下図参照）。出生曜日は、MIIBOAT-Toolが自動的に算出してくれる。

　

図　運命を司る三大天使（MIIBOAT-Toolによる表示）

　

（３）ホロスコープの表示

　MIIBOAT-Toolでは、「チャート」→「アセンダントの選択（秘教用）」→「蟹座０度１２区分」を選択する。これにより、星座ハウス一致方式のホロスコープができる（下図参照）。

 

　

（４）七大パートの算出

　このホロスコープをもとに、七大パートの位置を算出する。MIIBOAT-Toolでは、「表」→「アラビックパーツ」→「アラビックパーツ簡易版」を選択する（図２参照）。

　

　

（５）アラビック・サンチャートの表示

七大パートを使ったホロスコープ（アラビック・サンシャート）は、「表」→「アラビックパーツ」→「アラビックパーツによるサンチャート」で表示できる（図３参照）。この場合、手紙（守護霊）は太陽、真珠（幸運）は月、聖杯(エロス)は金星、賢者の杖（必須・不可避）は水星、聖剣（挑戦・求愛）は火星、柘榴（勝利）は木星、砂時計（応報）は土星で表示される（下図参照）。アラビック・サンチャートでは、手紙（守護霊）が必ず第一ハウス（この場合は蟹座）にくる。アラビック・サンチャートは、星座ハウス一致方式のカスプ表示はできないが、星座境界とハウス境界は一致するので、特に問題はない。

　

　

（６）大運表の作成

ホロスコープ（図１と図３）をもとに大運表（下表２）を作成する。惑星には、必ず品位＊を記入する。

 

＊品位　ひんい。〔ア〕ムザーイmza'y。〔羅〕dignitas。〔英〕dignity。下表１を参照して大運表に記入する。品位は、アスペクトよりも強い力を持っている。詳細な定義については、『ミトラ神学研究辞典』の「品位」の項を参照のこと。

 

表１　惑星の品位

惑星	本来	障害	高揚	転落
月	蟹座	山羊座	牡牛座	蠍座
水星	双子座 乙女座	射手座 魚座	水瓶座 乙女座	獅子座 魚座
金星	牡牛座 天秤座	蠍座 牡羊座	魚座	乙女座
太陽	獅子座	水瓶座	牡羊座	天秤座
火星	牡羊座 蠍座	天秤座 牡牛座	山羊座 乙女座	蟹座 魚座
木星	魚座 射手座	乙女座 双子座	蟹座	山羊座
土星	山羊座 水瓶座	蟹座 獅子座	天秤座	牡羊座
天王星	水瓶座	獅子座	蟹座	牡牛座
海王星	魚座	乙女座	蟹座	山羊座
冥王星	蠍座	牡牛座	牡羊座	天秤座

　

表２　例題の大運表　

ハウス	星座	主役 七大パート	補佐役 七惑星	年齢	三天使
１	蟹座	砂時計⇒ミカエル	土星（障害）⇒ミカエル	０〜７	堕天使 アズラーイル
２	獅子座	賢者の杖⇒シェムナーイル 聖剣⇒イスラーフィール	太陽（本来）⇒アザゼル 水星（転落）⇒シェムナーイル 火星⇒イスラーフィール	８〜１４
３	乙女座	真珠⇒アザゼル 柘榴⇒アズラーイル	月⇒ダルダーイル 木星（障害）⇒アズラーイル	１５〜２１
４	天秤座			２２〜２８
５	蠍座			２９〜３５	守護天使 ジブリール と シェムナーイル
６	射手座	鉄槌⇒アザゼル†	冥王星⇒アザゼル‡	３６〜４２
７	山羊座			４３〜４９
８	水瓶座	三叉鉾⇒アズラーイル† 稲妻⇒イスラーフィール†	海王星⇒アズラーイル‡	５０〜５６
９	魚座		天王星⇒イスラーフィール‡	５７〜６３	本命天使 ミカエル
１０	牡羊座			６４〜７０
１１	牡牛座	手紙⇒ダルダーイル＊＊		７１〜７７
１２	双子座	聖杯⇒ジブリール	金星⇒ジブリール	７８〜８４

表注　第４、５、７ハウスに相当する時期は、守護天使ジブリールが運命を司る。

＊＊手紙⇒ダルダーイル　手紙は、アラビック・サンチャート中では太陽で表示されている位置に来るが、別法では七大パート（ロット）の表に示されている位置に来る（表では指導霊になっている）。大運表では、両方を使う。

†　天王星、海王星、冥王星の発見にともなって新たに追加されたパート。七大パートではないが、参考にする。

‡ 天王星、海王星、冥王星は、七惑星ではないが、参考にする。

　

（７）大運表の解読その１．三区分で大きな傾向をつかむ

　「表　三区分の意味のまとめ」を使って、大雑把な傾向を読み取る。以下にその結果を記す。

　

�@成長期（０〜２８歳）

・この人の場合、成長期は、蟹座からはじまり、水の旅日記において壮年期（川の中流）に相当する星座が続く。それゆえ、２１歳までは恵まれた環境で育つ。

・この人の場合、成長期は、堕天使アズラーイルの保護を受ける。それゆえ、付き合い上手で、健康にも恵まれる。活発で愛嬌のあるお調子者になる。イスラーフィール（聖剣と火星）の影響も副次的に入るので、活発さがきわだつ。

　

�A壮年期（２９〜５６歳）

・この人の場合、壮年期は、蠍座からはじまり、水の旅日記において老年期（川の下流）に相当する星座が続く。それゆえ、年齢よりも大人びた考え方をする。

・この人の場合、壮年期は、守護天使ジブリール（シェムナーイル）の保護を受ける。ジブリールのほうが強いならば、人間関係は円満良好で、たいていのことは円満かつスムーズに進む。転機においても、ぎくしゃくしない。シェムナーイルのほうが強いならば、地味だが何事も手堅くまとめる。転職においても、あてもなく退社するようなことはしない。転機においても、あわてるようなことはない。温厚・地味・堅実な人という表の顔と、執念深い野心家という裏の顔を併せ持っている。

　

�B老年期（５７〜８４歳）

・この人の場合、老年期は、魚座からはじまり、水の旅日記において成長期（川の上流）に相当する星座が続く。それゆえ、老年期は、童心に返り、のびのびと暮らす。次で説明する「人生の流れ」�D〜�Hがこれを加速させる。

・この人の場合、老年期は、本命天使ミカエルの保護を受ける。それゆえ、高潔（潔癖）になり、俗物を嫌うようになる。高潔だが、どことなく厳しさ・寂しさが漂う老人になる。本来なら、本命天使の保護下に入るはずだが、幼児化して、堕天使の保護下にもどってしまうこともある。

　

（８）大運表の解読その２．七年ごとの詳細を調べる

　大運表をたどりながら、星座ごとにその年齢域の運勢傾向を読み取り、三区分で読み取った大まかな流れを踏まえて、細部の肉付けをする。このとき、七大ロットが主（主役）、惑星が従（補佐役）という原則を踏まえて、出来事に強弱を付ける。以下にその結果を記す。

 

�@蟹座期・獅子座期・乙女座期（０〜２１歳）

・人生の前半（０〜２１歳まで）は、まるで人生には選択肢というものがないかのように、強い力でひとつの方向に押し流されていく。七大天使（七ダイモーン）の働きかけが強いからである。

・蟹座期（０〜７歳）　ミカエル（砂時計と土星）の強い感化を受ける。その結果、自由な自己表現・感情表現が抑制される（土星は障害の座にいる）。

・獅子座期と乙女座期（８〜２１歳）　非常に活発。８〜１４歳の間に得意だったことが、そのまま職業になる。これは、シェムナーイル（賢者の杖と水星）とイスラーフィール(聖剣と火星)の働きかけによる。

〔一般事項〕　０〜７歳までの時期は、まだ母体からコントロールされている。身体的にも精神的にも母体に依存している。意識は霧に覆われている。この期の終わりに、へその緒がはずれる。（〔一般事項〕は、宇宙年代記と水の旅日記をもとにした西アジア的な秘教発生論である。）

〔一般事項〕　８〜１４歳までの時期は、意識にかかる霧が晴れてくる。見るもの、聞くもの、触れるもの、すべてが新しく新鮮で、毎日が発見の連続である。一日がとても長く感じられる。

〔一般事項〕　１５〜２１歳までの時期は、いわゆる思春期である。この時期に、男女とも自分の身体の変化に驚く。変容していく身体に追いつくべく、意識も変容し、適切な身体感覚と自己意識を発達させる。

　

�A天秤座期と蠍座期（２２〜３５歳）

　自分の意志で生きる。この時期は、守護天使ジブリールの加護を受け、おだやかで楽しい人生を過ごす。

〔一般事項〕　２９〜３５歳のときに、個我が目覚め、自己表現をするようになる。個性がはっきりしてくる。

　

➂射手座期（３６〜４２歳）

　この間のどこかで、自分の意志で選択した２２〜３５歳までの生き方とは、大きく異なる分野に方向転換する。結婚かもしれない。これは、アザゼル（鉄槌と冥王星）の働きかけによる。パートと惑星両方を通した働きかけであるため強力だが、品位が損なわれていない上に、壮年期を導く守護天使がジブリール・シェムナーイルであることにより助けられ、この方向転換は経済的な危機・波乱・破綻とは無縁である。

〔一般事項〕　この時期に、人間は読書や会話を通じて、歴史や過去から学び、自分がどういう類型パターンに属しているかを知る。

　

�C山羊座期（４３〜４９歳）

　守護天使ジブリールの加護を受ける。この時期は、おだやかで楽しい人生を過ごす。

〔一般事項〕　仕事、人間関係、地位、立場、役割、収入など、あらゆる側面において社会の中にがっちりと位置づけされる。社会の中の収まるべき場所にしっかりと収まる。

　

�D水瓶座期（５０〜５６歳）

　自然愛好と孤独愛好が強まる。これはアズラーイル（三叉鉾と海王星）の保護による。この働きかけは、パートと惑星両方をとおしてなので強力だが、品位が損なわれていないので放浪・蒸発といった事態にはならない。本命天使ミカエルの働きかけが強まるため、老年期は、孤高の人になる可能性が高い。

　

�E魚座期（５７〜６３歳）

　この間のどこかでやや大きな病気にかかる可能性がある。これはイスラーフィール（天王星）の働きかけによる。これは惑星を通した働きかけなので、大事には至らない。

〔一般事項〕　この時期は、なりふりかまわず、自分の理想とするところを目指して突っ走る時期である。道草をしている時間はないとばかりに、やり残したことにまい進する。

 

�F牡羊座期（６４〜７０歳）

　守護天使ジブリールの加護を受ける。この時期は、おだやかで楽しい人生を過ごす。

〔一般事項〕　この時期に、人間は、個としての成長を一応完成する。

　

�G牡牛座期（７１〜７７歳）

　この間のどこかで霊的な体験をする。これはダルダーイル（手紙）の働きかけによる。

〔一般事項〕　この時期に、人間は、自己の利害得失を離れて、客観的に社会全体のことを中心にして考えることができるようになる。

　

�H双子座期（７８〜８４歳）

　おだやかで楽しい晩年を過ごす。孤独が癒される。これはジブリール（聖杯と金星）の働きかけによる。若者と縁がある。

〔一般事項〕　この時期に、人間は、次の世代のことを中心にして考えることができるようになる。

　

（９）大運表の肉付け　その１

　七大パートのそれぞれについて、居留星座の影響がどのようなものかを『バビロニア占星学とアラビックパーツ』で調べる。例えば、真珠が乙女座にあるなら、辞書部で「月−乙女座」「月−第３ハウス」の項を読む。１５〜２１歳のときに、これらが示す傾向が強く現れるので、学校での成績は優秀だろう。MIIBOAT-Toolでは、「表」→「アラビックパーツ」→「アラビックパーツによるサンチャート」→「解説」→「サンチャートの解説」→「MIIBOAT」を選択すれば、意味が表示される。

　

（１０）大運表の肉付け　その２

　その他のアラビックパーツを使い、大運の詳細を補う。この場合は、アーク進行法／プログレッション法／一度一年法／トランシット法などと組み合わせて時期を判断する。MIIBOAT-Toolでは、「表」→「アラビックパーツ」→「アラビックパーツ時機表」で詳細な情報を得ることができる。

　

　

４．人物研究

　⇒ＨＰ《コミック天使学．木原敏江先生と七大天使の交流》参照。

　⇒ＨＰ《コミック天使学．青池保子先生と七大天使の交流》参照。

　⇒ＨＰ《コミック天使学．樹なつみ先生と七大天使の交流》参照。

　⇒ＨＰ《コミック天使学．中山星香先生と七大天使の交流》参照。

　

　

　

以　　　上