信仰綱領

――CREEDS OF MIHRIJJA――

　

　

目次

前文

　１．ねらい

　２．読み方

 

信仰箇条

　神（アッラーフ）

　神の真名　まな

　神の諸相

　神の象徴

　タウヒード（神の唯一性）

　友道　ゆうどう

　ワラーヤ（神の友）

　アドル（神の正義）

　理性、自由意志、預言

　イマーム（ミール）

　七大天使

　アザゼル

　守護霊

　友（サディーク）

　ジクル（黙念）

　聖戦士（ムジャヒディン）

　警戒（タキーヤ）

　ガイバ（お隠れ）

　秘儀

　祝祭

　朋名　ほうめい

　普伝　ふでん

　正典と注釈書

　神話

　死後の魂

　世の終わり

　世の終わりに関する別伝

 

付則

　１．ミトラ教のキーワード

　２．我々のミトラ教

　３．ミトラ教の特徴をとらえた諸定義

　４．神の特徴

　５．私宗教の盾

　６．ミトラ教の基本指針

　７．生き方についての具体的な指針

　８．さまざまな原則

 

 

 

前文

 

 

１．ねらい

　ミトラ教天使七星教会のミトラ信仰がどのようなものか、その信条を明確にし、曖昧な点をなくすこと。

　

　

２．特徴

（１）この文書だけで、ミトラ教が分る。

（２）予備知識をまったく必要としない。

（３）歴史を知る必要がない。（歴史に惑わされることなく、本質が理解できる。）

（４）ミトラ教の生きた現実を知ることができる。

（５）曖昧にぼやかしたところが一切ない。

　

　

３．正式版

『ケウル−ミトラ聖典』に収録されている。

　

　

　

信仰箇条

 

 

神（アッラーフ）

　神は、友愛そのものであり、人類最大の友である。

 

神の真名　かみのまな

　神の真名は、無数＊あるが、最高の真名、すなわち第一の真名は、友を意味する真名ミトラである。

 

＊無数　ヤズダンメフルYazdanmehr(Yezdenmîr)、イェッラーミールYellâhmîr、ミールMîr、天真弥勒〔てんしんみろく〕、天友弥勒〔てんゆうみろく〕、天真al-Haqq、無限弥勒Xwedê mehr hebün zemen bêdawî、アフラミトラAhura=Mithra、スメラなど多数あるが、第一の真名はあくまでも、ミトラである。

 

★付帯事項

・ミトラという真名の本体は、/みとら/という音である。文字表記は、その影である。

・文字表記はすべて、本体（/みとら/という音）を指し示す記号に過ぎない。

・「天の友」は、ミトラという真名の意訳である。

・ミトラのペルシア語名は、ミトラمیترا、あるいはメフルمھرである。英語では、それぞれMitra、Mehrと記す。

・弥勒、天真弥勒〔てんしんみろく〕は、ミトラという真名の中国語訳である。

・Mithra、Mitraは、ミトラという真名のラテン文字表記である。Mithraは「ミトラ」とラテン語式に読む。ラテン語なのでthをスθとは読まない。

・Митраは、ミトラという真名のキリル文字表記である。

・この他、歴史的に使われた表記もあるが、それらもすべて、真名の本体（/みとら/という音）を指し示す記号である。

 

神の諸相

・神には、潜在相と顕現相（活動相）がある。潜在相を老アイオーン、顕現相（活動相）を若アイオーンと言う。

・神には、三つの顔（意志相、友愛相、智慧相）がある。意志相を父ズルワーン、友愛相をミトラ、智慧相をソフィア（ディヴ）と言う。意志相と智慧相は、潜在相である。友愛相は顕現相である。

・神の智慧相は、七大天使というかたちをとることもある。七大天使を神の第四の顔（力相）と呼ぶこともある。

・神は、これらの相（顔）のすべてである。

 

★付帯事項

・潜在相を無極、顕現相（活動相）を造化の原理と呼ぶこともある。

・意志相を霊相。友愛相を魂相、生命相、あるいは意識相。智慧相を能動知性相と呼ぶこともある。

・ズルワーンを無量寿仏（阿弥陀仏）、ミトラを弥勒古仏、ソフィア（ディヴ）を無極聖母と呼ぶこともある。

・智慧相と友愛相を合わせて、生命の二面と呼ぶこともある。この場合、智慧相と友愛相を、それぞれ、ソフィアとミトラ、無極聖母と弥勒童神、ミロテアとミトラ、観音と観自在などと呼び、その一体性を表現することもある。

・友愛相をミトラ、意志相を父ズルワーン、智慧相を母ズルワーンと呼ぶこともある。

 

神の象徴

・神は、霊鳥スィームルグで象徴される。

 

タウヒード（神の唯一性）

・神は、全知全能にして、至高、絶対、唯一なる存在であり、人間的な姿をしていない。

・ミトラのほかに神はなく、ミトラは唯一絶対神である。

 

友道　ゆうどう

　友道は、神が指し示した道（天道）である。友道は、友愛と正義を両輪の輪とする。

 

ワラーヤ（神の友）

　神の本質は、友愛である。それゆえ、神の本質に触れ、天道を歩む者は、神の友である。

 

アドル（神の正義）

・神は、悪から遠く離れた存在であり、人類のために善いことをなそうとしている。

・神の正義は、社会的な公正、とりわけ富の配分における公正に力点が置かれている。

 

理性、自由意志、預言

神は、人類に善悪を判別するための知識を授け、人々がこの知識にたどり着けるように理性を授けた。しかし、理性は、必ずしも、最善の道を見つけるとは限らない。そこで、神は預言者を遣わして、啓示（預言）を与えた。啓示は、人間の理性が正しく機能するように、理性を補助する支えである。

 

イマーム（ミール）

�@イマーム

　イマームは、次のいずれかである。

 

・綺羅の霊＊を宿した者。

　・ミトラの生まれ変わり。

 

＊綺羅の霊　〔ア〕ルーホッラーrûh Allâh。〔ク〕キュルドタムKürdtam。〔パ〕マノフメード・ローシュンManohmêd Rôshn。ミトラの分霊のこと。

 

�Aイマームの地位

イマームは、預言者によって指し示された理想的な人類共同体をつくりあげるための精神的指導者であり、イマームに従う人々は、その建設を指導する義務と責任を負っている。イマーム抜きで、この世は正しくなり得ない。いついかなるときも、イマームによる精神的指導が不可欠である。

 

�Bイマームとともに歩むとは

イマームとともに歩むとは、つぎの三つを実践することである⇒バー-アシャー『初期シーア派の教典と釈義』p190。

 

　・イマームを知ること　マァリファma'rifa

　・イマームを敬愛すること　マワッダmawadda

　・イマームの友になること　ワラーヤwalâya

 

�C真の友

・上記�Aを実践すれば、イマームもまた、あなたを友とし、あなたを敬愛する。

・神をミトラと呼ぶ者だけが、神を「わが主」「わが友」と呼ぶことができる。

・神をミトラと呼ぶ者だけが、神と相思相愛の関係になることができる。

 

�Dイマームの別名

　イマームのことを、以下のように呼ぶこともある。

 

ミール Mîr

マウラーナ Mawlâna

　　キリスト Christ

　　パラクレート Paraclete

　　メシア　Messiah

　　弥勒転世　Mîr

　　仏陀　Buddha

 

七大天使

�@構成

　アザゼル、ジブリール、シェムナーイル、ダルダーイル、ミカエル、アズラーイル、イスラーフィールの七名からなる。

 

�A誕生

七大天使は、神により創造されたとも、神とともに生まれたとも言われている。これは最大の秘儀である。

 

�B世界統治

　七大天使は、毎日交代で世界を監督している。日曜はアザゼル、月曜はダルダーイル、火曜はイスラーフィール、水曜はシェムナーイル、木曜はアズラーイル、金曜はジブリール、土曜はミカエルである。

 

�C聖七文字

　七大天使は、神の名ΜΕΙΘΡΑΣ＊、『コーラン』第一章第一章句冒頭の七文字「神の御名において＊」BSMILLH、および『コーラン』開闢の章の章句（全七句）に結びついている。

 

�D七大天使の称号

・七名の大天使全体のさす称号には、七つの秘儀、神の玉座の前の七大霊、七つの霊光がある。

・七名の大天使はそれぞれ、下記のような称号を持っている。

 

　アザゼル　　　　　孔雀王、意志と力の天使

　ジブリール　　　　友愛の天使、聖霊の天使、人間性の主

　シェムナーイル　　財運の天使、短剣と暗殺の天使

　ダルダーイル　　　学芸の天使、白い風と甘い言葉の天使

　ミカエル　　　　　神の盾、道徳の盾

　アズラーイル　　　壮健麗美の天使、夢幻の天使

　イスラーフィール　破軍の天使、神火と神剣の天使

 

＊神の名ΜΕΙΘΡΑΣ　ミトラのギリシア語名でミースラスと読む。女性形はミロテアΜΙΡΟΘΕΑである。

＊神の御名において　かみのみなにおいて。アラビア語では、ビスミッラーヒBi'sm Allâhiと発音する。ビスムBSMがカダルQDR、イラーフILLHがクーニーKUNYに相当する。

 

アザゼル

�@筆頭最美

アザゼルは、七大天使の筆頭に立つ大天使で最も美しい。

 

�A天地創造の共同者

神が天地創造を行ったとき、アザゼルは神と一体であった。

 

�B完全復活

アザゼルは、完全に復活し、第一の天使の座にもどっている。アザゼルは神と一体である。

 

�C秘儀の守護者

アザゼルは、最終知識、すなわち、霊的復活（キヤーマ）の秘儀の守護者である。

 

�D神の共同者

アザゼルは、『啓示の書』を下し、神の友を保護している。さらにまた、アザゼルは、神に従わない者すべてをも支配している。アザゼルは、神に従わない者を更生させることもできれば、地獄（ゲヘナ）の奥底につなぎとめておくこともできる。

 

守護霊

　人間には必ず三人の天使が憑く。第一は本命天使、第二は守護天使、第三は堕天使である。

 

友（サディーク）

�@定義

　友とは、神の本質に触れ、天道を歩む者である。友とは、イマーム（＝天の友ミトラ）とともに歩む者である。具体的には、次の二つの宣言をして会員登録をし、毎日ジクルを実践する者である。

 

・宣言１．神を友にする。

・宣言２．守護天使を持つ。

 

�A具体的な手続きの詳細

⇒ＨＰ《ミトラの友になる方法》

 

ジクル（黙念）

　ジクルとは、次の二つの真言を心の中でくりかえし唱えることである。ただし、�Aのアザゼルの部分は、自分の守護天使（アザゼル、ジブリール、シェムナーイル、ダルダーイル、ミカエル、アズラーイル、イスラーフィール）の名前とする。

 

�@アッラーフ・メフル・アスト（神は友なり）

�Aアザゼル・チェペラム・アスト（アザゼルは、我が盾なり）

 

聖戦士（ムジャヒディン）

　聖戦士とは、パンとワインの秘儀を授かった者である。

 

警戒（タキーヤ）

　友道は、心、舌（言葉）、手（行為）によって表現されねばならないが、自己もしくは友の生命・財産・仕事に危害が加えられる恐れがある場合には、本心を隠し、自己防衛をしなければならない。危険が迫っている場合には、会員証を破棄してもよい。ただし、ジクルだけは、堅持しなければならない。

 

�@身の保全

　周囲の人々（家族・親族・知人・同僚など）との付き合いにさしさわりがある場合には、本心を隠し、身の安全を図らなければならない。

 

�A議論・衝突の回避

　議論・衝突が起きそうになった場合には、次のようにして回避しなければならない。

　　軽く受け流す。

　　　「そういう考え方もあるね」「それも一つの見方だね」「勉強になりました」

「そういう話には興味がない」など。

　　話題を変える。

　　衝突が予測される場合には、話題にしない

 

　説明、説得、弁解はしない。その必要もない。

 

　頭主心従になっている人とは、議論をしない。議論しても意味がない。

　

�B押し付けの回避

　自分の意に沿わないことを強要されそうになった場合には、それをうまく回避・拒否しなければならない。

 

�Cタキーヤでも、らちがあかない場合

　執拗に強要され、どうにもならないときには、すぐに友の会に連絡を取ること。問題をひとりで抱え込まないことが重要である。

 

�Dタキーヤしている人の位置付け

　ミトラ会あるいは神の党の秘密会員という位置付けになる。位階はクリフィー＊になる。

 

＊クリフィー　〔羅〕Chryfii。潜伏の意。⇒ＨＰ《西方ミトラ教の歴史》「潜伏」の位階

 

 

ガイバ（お隠れ）

�@お隠れ

イマームのマフディーは、十二歳のとき天と地の間のどこかにお隠れになった（874年）。

 

�A接触

マフディーは、神の友とあらゆるレベルで接触を保っている。

 

�B再臨（下生）

・マフディーは、神ミトラの最後の化身であり、世界周期の終わりに下生する。

・下生したマフディーは、真の正義を確立し、それまでの集団指導の是非を裁く。

　

�C集団指導

お隠れ以後、世の終わりまで友たちによる集団指導制が続く。友たちは、この結果について神、人類、地球上の全生命に対し責任を負う。人類共同体の統治範囲および統治能力の拡大につれ、その責任も増大する。

 

秘儀

�@パンとワインの秘儀

・年中行事としては、ミトラ聖誕祭にて執り行う。

・必要に応じて、聖戦士堅信礼にて執り行う。

 

�A七位階の秘儀

　位階は上位から順に、アキラ、ヘリオドロムス、ペルセス、レオ、ミレス、ニンフ、コラックスである。

 

祝祭

�@四季

春はセレーサル祭、夏はアザゼル祭、秋はミトラカーナ大祭、冬はミトラ聖誕祭を祝う。

 

�Aその他の祝祭

　行事の取り決めに準じる。

 

�B一週間

　日曜日は、ミトラ日である。ミトラ日は、天の友である神とともに過ごし、心身を癒す日である。

 

朋名　ほうめい

　ミトラの友は、朋名を持つ。朋名は、ミトラの友となった証しであり、新しい自分、本当の自分、こうなりたいという理想の姿を表すものである。

 

普伝　ふでん

　ミトラの友は、友たちの合意形成（イジュマー）により物事を決める。

　ミトラの友は、聖王独裁から祭司による位階制へ、祭司による位階制からウラマーによる集団指導制へと共同体の統治原理を発展させてきた。この発展は、世の終わりまで不断に続く。

　現在は、ウラマーによる集団指導制をさらに拡張し、漸進的に次の段階（神聖民主主義）へと移行するための、創造の時である。

　この統治原理（神聖民主主義）は、ミトラ教文化（スィームルグ文化）が咲かせる、新たな精華である。

　神聖民主主義の根本原理は、「ローテーション」「経済平等」である。

 

正典と注釈書

１．正典の分類

　正典＊は、�@啓示つまり倫理にかかわる教典、�A神話・伝承を記した教典、�B祈祷・典礼にかかわる教典、�C哲学つまり東方神智学にかかわる教典・注釈書＊、�D実践指導書、�E宗教文学（詩、大和宝巻）、�F参考古典（正典ではないが教義研究の参考にする教典など）に大別される。

 

＊正典　せいてん。〔英〕カノンcanon。

＊注釈書　ちゅうしゃくしょ。〔ア／ク〕タフシールtafsîr。〔英〕commentary。

 

�@啓示を伝える教典

・天真弥勒経（ミトラの言葉�T）

・大聖弥勒説天心経（ミトラの言葉�U）

・天真弥勒神名経（名の書）

・黒の書

・啓示の書

・徹尽万法根源智経

・マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ、トーマスの五福音書

・大学

・中庸

・般若心経

など

 

�A神話・伝承を記した教典

・真二宗経（シャープラカーン）

・聖詩　救済者の霊に讃えあれ

・業輪経（ゾディアックの書）

・クルド口伝の書

・ペルシアの女神アフロディテの物語（キリストなるミトラ誕生の物語）

・サスナ・ツレル（アルメニアのミトラ神話）

・九蓮宝巻

・大力士経（巨人の書）

・浄命宝蔵経（ギンザー）

・秘密宝蔵経（ヘーハーロートの書）

・ボゴミール派による秘密の書

・カタリ派祈祷書

など

 

�B祈祷・典礼にかかわる教典

・天真弥勒大讃願経

・天真弥勒讃願経（ミトラ讃歌）

・妙見大菩薩大神咒経

など

 

�C注釈書

・大マニ　ケファライア　

・朱子　近思禄、朱子語類

・スフラワルディー　東方神智学、光輝の書、光の様相、友愛の本性、鳥たちの物語など

・ミルドラフワンディー　太陽の書

・シャビスタリー　薔薇園の秘密

・ハキム・サナイ　真理の中庭

・アッタル　鳥たちの集い

・ルーミー　精神的叙事詩

・プラトン　国家、法律、ティマエウス、饗宴、パイドロス、パエトン、メノンなど

・東條真人　ミトラ神学、シークレット･ドクトリンを読むなど

他多数

 

�D実践指導書

・太乙金華宗旨

・タロット大事典

など

　

�E宗教文学（詩、大和宝巻）

　⇒ＨＰ《孔雀時代の新宝巻》

 

神話

　ミトラ神話は、複数ある。

　ミトラに関する伝承にはみな、なにがしかの真理が含まれている。

　すべてのミトラ神話に共通することが、ミトラ神話のかなめである。

　ミトラ神話の価値は、その総体から演繹される哲学の普遍性による。

 

死後の魂

�@小審判

　死後の魂は、肉体を離れて冥府に向かう。冥府にて、神の裁きを受ける。

 

�A転生

　さらなる転生が必要と判断された魂は、一定期間を経過した後、ふたたびこの世に生まれてくる。

 

�B地獄

　このままでは堕落する一方だと判断された魂は、更正のために地獄に送られる。地獄で一定期間を過ごした後、ふたたびこの世に生まれてくる。

 

�C天真への帰還

　神がよしと認めた魂は、天真の内に帰還する。もはや転生することはない。

 

世の終わり

�@世の中が乱れる

　人々の欲望が途方もなく大きくなり、救済は困難になる。その結果、世の中は大いに乱れ、不法、頽廃、病気、犯罪、暴力が激増する。

 

�A友たちは避難する

　ミトラが現れ、友たちを「聖なる都＊」に避難させる。彼らは、苦海からのがれて、これから起きることを待つ。このとき現れるミトラを「時の主」と呼ぶ。

 

�B救う者がいなくなる

　菩薩も仙人もほとんどがこの世から引き上げてしまう。そのため、欲望と執着により無明の中をさまよっている人々を救う者はいなくなる。

 

�C天変地異が起きる

　天が下した水、火、風の三災が一度に下界をおそう。すると、一瞬にして、無数の大地が傾く。

 

�Dミトラは友たちを脱出させる

　ミトラは、友たちを真気でつつみ、彼らをそれぞれが坐るべき九枚の花弁をもつ白蓮華に結びつける。すると、突然、目の前から三災八難と苦難が消える。目の前に無影山が現れ、皇極の内に住む無極聖母がやってきて、金丹を与えてくれる。友たちは金丹を飲んで、西天浄土にあるミトラの宮殿の内裏に入る。

 

�E最終戦争が起きる

　天使軍対大怨霊の大決戦が起きる。大怨霊は、時の終わりまでに回収しきれなかった七大天使の影の集合体である。はげしい戦いの末、大怨霊は調伏される。

 

�F新しい周期がはじまる

　古い世界は解消され、新しい世界が作られる。

 

＊聖なる都　中国語では「香斎」〔こうさい〕Xiang-zhaiと言い、お香の煙がつくる結界に斎〔まも〕られた都を意味している。エメラルドの都（碧都）とも言う。シリア語の教典には、「天のエルサレム」と書いてある。

 

世の終わりに関する別伝

�@悪がはびこる

　世の終わりが近づくと、誰も『コーラン』を読まなくなり、欲望のままに生きるようになる。犯罪の激増と天変地異で、世の中は荒廃する。

 

�A神は大欲霊をつくる

　神は、世の中のすべての欲を集めて、大欲霊ダッジャールDajjâlをつくる。ダッジャールは、巨大なロバに乗って現れ世界を征服し、四〇日間支配する。ダッジャールは、キリスト教の反キリストに相当する。

 

�Bマフディーが現れる

　白馬に乗って、マフディーが下生し、ダッジャールを退治する。マフディーは善男善女を集めて千年至福王国をつくる。イエスをはじめ、多くの聖者が天界から降りてくる。彼らは、千年間の統治の間に救える者をみな救う。

 

�Cマフディーの帰還

　マフディー昇天の七日後、アレクサンダー大王が封印したゴグとマゴグが壁を破って飛び出し、大地を乾燥させ、砂漠化させる。文明はすべて滅びてしまう。

 

�Dトランペットが鳴り響く

　神は、世界を見回し、もはや救えるべき者は一人もいないことを確かめる。神は、イスラーフィールに命じてトランペットを吹かせ、最後の日が来たことを告げさせる。三回目の音が鳴り響くと、マホメットが幻獣ブラークに乗って降りて来る。大天秤がすえつけられて、最後の審判が始まる。

 

付則

 

 

１．ミトラ教のキーワード

友愛、誠、友道、正義、公正、平等。

 

 

２．我々のミトラ教

　ＨＰ《コミック版ミトラ神話�Vいかに認識すべきか》の「女流画家のスケッチブックから　――シーア化」から引用する。

 

 

〔備考１〕　この定義は、やや抽象的だが、包括的である。

〔備考２〕　ＨＰ《コミック版ミトラ神話�Vいかに認識すべきか》の「２．認識の基礎」に、この他のポイントもまとめてあるので、そちらも参照のこと。

 

 

３．ミトラ教の特徴をとらえた諸定義

定義１

神の友となり、仲間とともに天道を歩む宗教である。

 

定義２

天の友ミトラを祭神として崇め、カルデア神学を教義思想とする宗教である。

 

定義３

ミトラ教は、習合により成長する宗教である。

 

〔備考〕　上記の三つの定義はいずれも、ミトラ教の特徴的な一面をうまくとらえているが、包括的な定義ではない。

 

 

４．神の特徴

�@ 神は、天真そのものである。

�A 神の本質は、友愛である。

�B 神は、最高の友である。

�C 神は、全知全能である。

�D 神は、約束を守る。

�E 神は、慈悲深い。

�F 神は、美少年である。

�G 神は、七大天使にかこまれている。

�H 神は、けっして欺かれることがない。

�I 神は、やさしく甘美に語る。

�J 神は、正義を重んじる。

�K 神は、万物の創造主である。

 

 

５．私宗教の盾

ミトラ教は、歴史的・地理的に大きく広がっている。原始ミトラ教（ミトラ単一神教）、ズルワーン教、西方ミトラ教、東方ミトラ教、ミール派イスラーム、弥勒教、弥勒講など、いろいろな形態がある。シーア派や陶酔型スーフィズムも、このグループに属している。

　わたしたちのミトラ教は、このどれかではない。このすべてに通底する部分を現代化・公教化し、友道のもとにさまざまな私宗教を共生させたものである。この通底・現代化・共生・公教化・集大成をシーア化と言い換えてもよい。この「シーア化」こそ、生きた現実、わたしたちのミトラ教の大きな特徴である。

 

　誰もが心の中に持っている自分独自の宗教を「私宗教」と言う。ミトラ教は、私宗教を護る盾である。私宗教を捨てることは、自分を否定することである。

　既成の宗教・オカルトはみな、私宗教を捨てることを強要し、自らの思想・価値観を押し付けてきた。ミトラ教は、そのような均質的・画一的な信仰を拒否する。

　ミトラ教は、無数の私宗教の習合＊がつくりだす、繊細で多様性に富む習合体を目指している。

ミトラの友になるまで、あなたを支えてきたのは、あなたの私宗教の神々である。それゆえ、ミトラの友は、感謝をこめて、この神々を護る義務がある。ミトラの教えと私宗教の習合・融合は、内面的な友道の実践である。感謝の気持ち、恩返しの気持ちを持っていれば、ミトラ教と私宗教は、スムーズに融合していく。この習合こそ、友道の基礎である。

　内面的に、この習合をおこなった者は、他者の価値観・世界観への理解・思いやりの心を内面に育てている。この心こそ、ミトラの友が咲かせた花である。

 

＊習合　しゅうごう。〔英〕シンクレティズムsyncretism。

〔定義１〕　宗教融合、宗教統合、混合、混交（混淆）、折衷により、新しい宗教を創始（建立）することを意味する。具体的には、下記に示す三つの行為のすべて、あるいは、いずれかによって、おこなわれる。

�@異なる伝統（宗教）に由来する複数の要素（神団、神話、教義、儀礼、術、図像、名前、教典など）を融合する。

�A新しい神々・神話・伝承を受け入れ、神団・神話を拡大強化する。

�B自らの神々に新しい神話・儀礼・図像・名前を与え、神話・儀礼・神力（霊験）を拡大強化する。

〔定義２〕　二つ以上の宗教の神々を習〔かさ〕ね合わせて、融合一体化すること。ゆるやかに並存する段階から、完全に融合して新しい宗教になる段階まで、さまざまな程度がある。日本における神仏習合は、この典型である。⇒本地垂迹説〔ほんじすいじゃくせつ〕

〔備考１〕　宗教的な創造性が発揮されるとき、必ず生じる現象である。新しい宗教の生命力と若さの源である。

〔備考２〕　シーア化は、習合の一形態である。

 

 

６．ミトラ教の基本指針

・座学と実践のバランスをとる。

・徳育、知育、体育のバランスをとる。

・家族、友人、知人に誇れる教会にする。

・楽しく学びながら、徳をはぐくむ。

・いかなる差別もしない、させない。

 

　上記方針は、儒学の言葉を使って、つぎのように書き下すこともできる。

 

・唯一聖道　――天真弥勒への持敬・居敬。仁愛の道、聖人の道

天真を人間的姿の中に体現しているミトラを友とし、ミトラを鏡にして自己本来の姿を自然に誠意を持って展開すること。

 

・顕密両道　――修己と治人

　自分自身の完成と、公益・社会への貢献の両方を修めること。

 

・三綱領　――明明徳、新民、止至善

　明徳を明らかにし、民を新たにする際には、天真に則ること。

 

・八条目　――善思（誠意、正心）、善語（格物、致知）、善行（修身、斉家、治国、平天下）

　善思は、意を誠にし、心を正すこと。善語は、物に格〔いた〕り、知を致〔きわ〕めること。善行は、身を修め、家を斉〔ととの〕え、国を治め、天下を平らにすること。

 

 

７．生き方についての具体的な指針

�@友道　ゆうどう

神の友として生きよ。仲間を大切にせよ。

 

�A真忠・至孝　しんちゅう・しこう

ミトラの友として恥ずかしくない人間になれ。

 

�B聴命　ちょうめい

天真弥勒の声を聞け。⇒『コーラン』55:27、『論語』12:1

 

�C五常　ごじょう

身を修め、五常を身に付けよ。

 

�D首領　しゅりょう

内なる宇宙のミールになれ。

 

�E取捨　しゅしゃ

枝葉をかりとり、本質を残せ。⇒『コーラン』28:88

 

�F預備　よび

死ぬ前に死ね。三欲を殺せ。

 

�G察時　さつじ

目で見るな、耳で聞くな。心で見て、心で聞き、心で感じよ。

 

�H参悟　さんご

内面を見つめて、天真を悟れ。⇒『コーラン』6:50

 

�I利名　りみょう

名を捨てよ、利を捨てよ。

 

�J較量　こうりょう　

内的獣（欲望）を生贄としてささげよ。内的なタウロクトニーを行え。⇒『論語』3:17

 

�K葷素　くんそ

肉だけ、あるいは野菜だけを食べるのではなく、すべてをバランスよく食べよ。

 

�L博飲　はくいん

ギャンブルと酒を絶て。

 

�M利穀　りこく

利子をとるな。（高利貸しの禁止）

 

�N風水　ふうすい

風水を考えよ。占いをたてよ。（占いの公認）

 

�O正命　しょうみょう

天真に還る日が来ることを忘れるな。

 

�P今世　こんぜ

人生は一幕のドラマに過ぎないと思って、こだわるな。

 

�Q後世　ごよ

この世は来世のためにあることを忘れるな。

 

 

８．さまざまな原則

�@根本教義

　天真に則し、弥勒（ミトラ）を友にして歩む者の集まりである。

 

�A友

ミトラの友にとって、もっとも重要なこと　第一は、ミトラを友とすることである。第二は、愛と友情である。第三は、自己を豊かにして、人生を実りあるものにすることである。第二と第三は同列であり、優劣はない。

 

�B諸教円融

　すべての宗教的伝統と諸教円融の姿勢で協調する。このかなめが「ミールの教義」である。ただし、ミトラ教を意図的に混乱させようとする宗教に対しては諸教円融の適用外とし、自己の純粋性を守るために戦う。ミトラ教の歴史において、諸教円融の適用外となった宗教は、唯一ゾロアスター教（マズダー教）のみである。

 

�C習合の容認

　他の宗教との融合（習合）を禁止しない。融合・習合＊したものも、ミトラ教会の一員として受け入れる。

 

＊融合・習合　ミトラ教は、習合をする際には、主神と主神というように、双方の神々の位置付けを尊重して同じ位置付けにある神同士を習合させる。相手の宗教が主神としている神を悪魔視するようなねじれをかたく禁止している。

　

�D世界宗教

　�@から�Cまでの実践を通して、新しい世界宗教としての大ミトラ教の創出を目指す。

 

�E天使七星教会の活動

　ミトラ教のアジア的な展開を使命とする教会である。使命を達成するために古今東西から広く学び、この伝統をより豊かなものに育て、世界に発信しようとしている。

 

�F天使七星教会の系譜

　江戸時代に誕生した弥勒講・富士講の子孫が重要な役割を果たしている。したがって、この伝統を育てていく。日本への伝播は、まだ不明な点が多い。伝播は奈良時代にまでさかのぼるが、それは今後の研究課題としている。

 

�Gマギの自由と権利の確保

　ミトラ教のマギ（カルデアンマギ）は、それぞれの立場から宗教統合運動・習合を進める。誰から指示されるわけでもなく、幅広くかつ批判的に比較研究して、各自が自己の判断と内的作業にもとづいて、学んだことを知恵の大河に合流させていく。天使七星教会は個々のマギ・友たちの思索内容に立ち入ることはない。むしろ、奨励し、その自由と権利を護ることを任務とする。

 

�H暴走の歯止め

　特定の人物の言動で変質しないように、正典を定め、それを共通の基礎としている。ファミリー内の宗派・教団は、教典は共有している。ミトラ教の根本には、「火の鳥の神話＊」の精神があり、この根本精神を守るために正典がある。正典は常に公開されているので、いつでも第三者が正典に示された精神が守られているかどうかをチェックすることができる。

 

＊火の鳥の神話　⇒『ケウル−ミトラ聖典』の「火の鳥の物語」

 

�Iカルデア神学

　ミトラ神学、ズルワーン神学という別名がある。至高神ミトラについてのクルド的神話伝承・祭儀をセム的な宗教伝統と思想にしたがって解釈する枠組みを定める。

　

　

以　　　上